その運動指導は間違っています!

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運動やトレーニングをしていて体に痛みが出た時、みなさんはこんなアドバイスを受けたことはありませんか?

たとえば、「スクワットをすると膝が内側に入ってしまうから、膝をまっすぐにしてやってください」と言われたこと。

もしくは、「背中が丸くなるから、胸を張って姿勢を正して!」とか、「歩くとつま先が外に向くから、つま先をまっすぐ出して!」など…。

一見すると、理にかなっているようなアドバイスですが、実はこれ、間違った運動指導かもしれません。

【言葉だけで、体の動きは変えられるのか?】

結論から言います。

言葉だけでは、体の動きは変えられません。

なぜなら、人間の体の動きというのは「意識」だけではなく、「感覚」「筋肉のバランス」「関節の動きの癖」など、無意識の要素に大きく影響されているからです。

たとえば、「膝をまっすぐにしてスクワットして」と言われたとしても、それができないのには何かしらの理由があるはずです。

本当に体がまっすぐ動く状態にあるなら、指摘されるまでもなく自然とまっすぐ動くはずなんです。

それなのに「膝をまっすぐにして!」と言葉で指示されるだけでは、体は困ってしまいます。

運動を変えるには、「運動の結果」だけを変えようとするのではなく、その「運動の過程」つまり、体の状態や動きの背景にある問題を見直す必要があるのです。

【間違った運動指導の例 〜結果だけを変えようとする危険〜】

たとえば先ほどのスクワットを例にお話しします。

「膝が内側に入っているから、まっすぐにして」と言われて、あなたがそれを守ろうとがんばったとします。

すると多くの人が、「股関節を無理に外側にねじる」「腰を丸めたり反ったりして姿勢を調整する」「足首をねじって無理やり膝の位置を調整する」など、無理な動きを体に強いてしまいます。

これ、すべて“運動の結果”を変えようとして、別の部分で頑張ってしまっている状態です。

するとどうなるか?

結果的に、膝以外の場所に痛みが出るようになったり、体がさらにバランスを崩したりしてしまうんです。

「膝をまっすぐにしよう」と意識することが、かえって腰痛や股関節痛、足首の痛みの原因になってしまうことも珍しくありません。

【動きを変えるには「過程」を見直すことが大事】

じゃあ、どうすればよいのでしょうか?

大切なのは、「膝が内側に入るのはなぜか?」という原因に目を向けることです。

もしかしたら、「股関節がかたくて、十分に外側に開けないのかもしれません」「太ももの内側の筋肉ばかりが働いていて、外側の筋肉が使えていないのかもしれません」「足首の動きがかたくて、バランスを取るために膝が内側に入ってしまっているのかもしれません」。

このように、運動の“過程”にある問題を解決していかない限り、スクワットのフォームは変わりません。

つまり、「動きの結果」を無理に変えるのではなく、「体の状態」や「運動の土台」を整えることが必要なんです。

【まずは体の状態を整えてあげましょう】

体が自然にまっすぐ動くようになるには、動かせる“余裕”が必要です。

スクワットにしても、膝が内側に入ろうが外側に向こうが、自由に動ける関節の状態を持っていることが理想です。

そうなれば、無理に意識しなくても、体が“勝手に”ベストな動きを選んでくれるようになります。

そのためには、「筋肉の緊張をゆるめる」「関節の可動域を広げる」「姿勢のクセや体の使い方を見直す」など、「体を変える」ことが、動きを変える第一歩なんです。

そして、これらの調整は、セルフケアだけでは難しいこともあります。

そんなときは、信頼できるセラピストやトレーナーに体を診てもらい、実際に触れてもらいながら、体を変えてもらうことをおすすめします。

【まとめ|あなたの体は、あなたの乗り物です】

最後に少し、たとえ話をさせてください。

あなたの体は「車」のようなものです。

もしハンドルが勝手に右に曲がってしまうなら、それをまっすぐに戻そうと頑張っても、すぐにまた右に曲がってしまいますよね。

本当に必要なのは、「なぜ右に曲がってしまうのか?」という原因を探すことです。

たとえば、「車軸が右にゆがんでいる」「右側のタイヤの空気が抜けている」「右側に重い荷物を積んでいる」などです。

こんな問題が隠れていたら、それを直さない限り、いつまでたってもハンドル操作だけでは改善しません。

体もまったく同じです。

「まっすぐに動かせ」と言われて無理やり姿勢を正しても、根本の原因が解決されていなければ、またすぐに元のクセに戻ってしまいます。

本当の意味で体を変えていくには、原因を一つひとつ丁寧に見つけて、そこから解決していくことが大切です。

焦らず、少しずつ、自分の体と向き合っていきましょう。

あなたの体は、ちゃんと整えてあげれば、自然と正しい動きを選んでくれるはずです。