筋膜とは、筋肉を包んでいる薄い膜のことを指します。
この筋膜は全身に張り巡らされていて、筋肉や内臓、骨などをつなぎ、体の構造を支えるとても重要な役割を担っています。
筋膜が健康な状態にあると、筋肉の動きがスムーズになり、柔軟性や可動域も保たれやすくなります。
しかし、何らかの理由で筋膜が硬くなってしまうと、「コリ」として感じられるようになり、様々な不調が現れます。
具体的には、「痛み」「しびれ」「冷え」「こわばり」「動きにくさ」「息苦しさ」といった症状が出やすくなります。
筋膜が硬くなると、筋肉自体の動きも制限され、関節の可動域が狭くなったり、血流やリンパの流れも悪くなったりします。
そのため、筋膜は常に柔らかく、しなやかな状態を保つことがとても大切です。
この記事では、筋膜が硬くなってしまう原因として代表的な「使いすぎ」と「使わなすぎ」について、詳しく解説していきます。
【筋膜が硬くなる原因は「使いすぎ」と「使わなすぎ」】

筋膜が硬くなる原因はさまざまですが、大きく分けると「使いすぎ」と「使わなすぎ」の2つに分けられます。
一見、正反対のように感じるかもしれませんが、どちらも筋膜にとっては負担になります。
日常生活でどちらかに偏った習慣があると、知らず知らずのうちに筋膜にストレスをかけてしまい、結果的に「筋膜のコリ」へとつながるのです。
【使いすぎによる影響】
「使いすぎ」とは、特定の筋肉を過剰に使い続けることによって、筋肉やその周りの筋膜がこわばり、柔軟性が失われる状態を指します。
日々の生活の中で、思い当たる習慣があるかもしれません。
たとえば、以下のような行動です。
・同じ姿勢で長時間いる
・デスクワークで長時間座りっぱなし
・スマートフォンやタブレットを長く見続ける
・仕事や趣味で同じ動作を繰り返す
・パソコンのタイピング作業
・料理で包丁を持ち続ける
・楽器演奏や編み物
・スポーツでの反復練習
・動作のパターンが固定化されている
・いつも同じ方向にバッグをかける
・同じ足で立ち続ける習慣がある
このような動作を続けていると、特定の部位の筋膜ばかりにストレスがかかり、柔軟性を失って硬くなってしまいます。
硬くなった筋膜は筋肉を圧迫したり、血流を悪くしたりするため、結果として「コリ」「痛み」「冷え」などの症状が現れてしまうのです。
【使わなすぎによる影響】
「使わなすぎ」とは、体を動かす機会が少なくなることで、筋肉や筋膜が十分に刺激を受けず、硬くなってしまう状態です。
現代人に非常に多く見られるタイプです。
以下のような生活習慣がある方は要注意です。
・悪い姿勢を続けている
・猫背や反り腰、足を組むなどのクセ
・背もたれに寄りかかる姿勢が多い
・家で過ごす時間が多い
・テレビやスマホを見ている時間が長い
体を動かさない生活が続くと、筋膜がほとんど刺激されず、だんだんと硬くなってしまいます。
筋肉も同様に働きが悪くなり、血液やリンパの流れも悪くなって、身体の冷えやだるさにつながることもあります。
筋膜は「動くこと」で柔らかさを保てる構造をしています。
つまり、筋膜を健康に保つには、適度な運動や日常動作でのバランスの取れた体の使い方がとても大切なのです。
【筋膜のコリは時限爆弾~予防が大切~】

筋膜のコリは、まるで「時限爆弾」のようなものです。
つまり、筋膜が少しずつ硬くなっていくうちは、体に目立った症状は出ません。
多少のコリがあっても、「ちょっと疲れてるのかな」「少し違和感があるな」程度で済んでしまいます。
しかし、その硬さが限界を超えると、ある日突然「爆発」します。
よくある例として、以下のような症状が出ます。
・朝起きたら急に腰が痛い
・いつも通りに歩いていたら膝に違和感が出た
・急に肩が重くなってきた
「特別な原因がないのに突然起きた不調」は、筋膜のコリが限界を超えたサインかもしれません。
こうした不調を未然に防ぐには、「筋膜を柔らかく保つ」意識がとても大切です。
症状が出てから対処するのではなく、日頃からケアをしておくことが予防につながります。
【筋膜のコリは簡単には無くならない】

筋膜のコリによって起きる不調は、残念ながら一度できてしまうと簡単にはなくなりません。
多くの方が「ストレッチをしているのに改善しない」「マッサージを受けたけどまた戻る」と感じるのは、筋膜のコリが根深く、表面的な対処では取りきれないためです。
筋膜のコリを取り除くために効果的なのは、「直接筋膜のコリにアプローチする施術」を受けるか、「汗をじんわりかくくらいの有酸素運動」を行うことです。
しかし、痛みが強く出ている状態では、運動すること自体が難しいこともあります。
その場合は、まずは適切な施術で筋膜のコリを取り除き、体を動かせる状態に整えることが先決です。
動ける体になってから、徐々に日常生活での姿勢や動き方を見直し、筋膜を柔らかく保つ生活習慣を身につけていくと、再発も防ぎやすくなります。
【まとめ】
筋膜の硬さは、「使いすぎ」や「使わなすぎ」といった生活習慣の偏りによって起こります。
まずは、ご自身の生活を見直してみてください。
「デスクワークで同じ姿勢が多い」「運動する習慣がない」「いつも同じ側で荷物を持っている」など、筋膜に負担がかかっている要因が隠れているかもしれません。
どちらのタイプに当てはまるのかを知ることが、改善への第一歩です。
そして、予防としては、適度な運動に加え、必要に応じて施術によるコンディショニングを取り入れることをおすすめします。
筋膜をしなやかに保ち、コリを溜めない身体を目指していきましょう。