膝の痛みは、年齢や性別を問わず多くの方が抱える悩みです。
「歩くと膝が痛む」「階段の上り下りで膝が重い」「朝起きたときに膝がこわばる」といった症状は、誰にでも起こり得る身近なトラブルです。
しかし、痛みを「そのうち治るだろう」と放置してしまうと、膝に水がたまったり、関節の変形を助長してしまうリスクがあります。
そうなると改善までに時間がかかり、最悪の場合は手術を検討せざるを得ないこともあります。
この記事では、膝の痛みが長引く人に向けて、原因の整理、誤解されやすいポイント、そして改善に向けた具体的なアドバイスをまとめました。
膝に不安を抱えている方の参考になれば幸いです。
【膝関節はストレスを抱えやすい構造】

まず知っていただきたいのは、膝関節そのものの特徴です。
膝は「曲げ伸ばし」が中心の1軸関節であり、横方向やねじれの動きには強くありません。
一方で、膝の上下には複雑に動く関節が存在します。
股関節は球状関節で多方向に動けて可動域が広い
足関節は複数の関節が合わさり柔軟性が高い
本来、股関節や足関節が柔軟に動くことで衝撃を吸収し、膝への負担を減らしてくれます。
しかし、股関節や足関節の動きが悪くなると、膝が代わりに余計な動きを強いられることになります。
膝は構造的にそうした動きに対応できないため、結果的に痛みや炎症が起きやすくなるのです。
【膝のトラブルの原因は大きく2種類】

膝に痛みや違和感が出たとき、その原因は大きく2つに分けられます。
膝そのものに問題がある場合
転倒して膝を打撲したり、スポーツでひねったりといった「直接的なケガ」によって膝を痛めるケースです。
この場合は膝自体に損傷があるため、専門的な治療やリハビリが必要になります。
膝以外に問題がある場合
一方で、明確なケガのきっかけがないのに膝が徐々に痛み出したり、繰り返し膝に水がたまる場合は「膝以外に原因がある」ケースが多いです。
具体的には、近隣関節の不調(股関節や足関節)、姿勢の崩れ(猫背や反り腰)、動作のクセ(歩行や運動時に膝が内側へ入るなど)といった要因が膝に負担をかけていることがあります。
この場合は膝だけをケアするのではなく、全身のバランスを整え、根本的な原因を解決することが必要になります。
【「関節が変形=痛い」ではない】

膝の痛みに関して、よくある誤解のひとつが「関節が変形しているから痛い」という考え方です。
実際には、O脚などで関節の変形があっても痛みなく生活している方もいますし、逆に関節の形が正常でも強い痛みに悩まされる方もいます。
確かに、変形があると関節にかかる負担は増えるため、痛みが出やすくなるのは事実です。
しかし「変形=痛み」とは限りません。
膝の痛みは、筋肉や筋膜の状態、重心のかかり方、日常の動作のクセといった要素によって大きく左右されます。
ですから、関節に変形があるからといって「もうどうしようもない」と諦めてしまうのは、とてももったいないことなのです。
【膝に水がたまるのは炎症のサイン】

膝に水がたまると、不安に感じる方は多いと思います。
これは膝の内部で炎症が起きているサインです。
水がたまることで、「関節が不安定になりやすい」「膝まわりの筋肉がこわばり、痛みを助長する」「炎症を繰り返すことで関節が傷み、変形につながりやすい」といった問題が起こります。
そのため「水を抜く」だけでは根本解決にはなりません。
膝に水が繰り返したまるということは、それだけ膝に継続的なストレスがかかっているということです。
大切なのは、膝にストレスを与えている原因そのものを見つけ、改善していくことです。
【膝の痛みを解決するには筋膜施術が有効】

膝の痛みを根本から改善するためには、膝だけでなく「全身のつながり」に目を向ける必要があります。
私が得意とする筋膜施術では、膝周囲の筋膜の硬さが痛みを生み出しているケースを多くみてきました。
例えば、体重をかけたときに膝の前面が痛い場合、 太ももの内側や前側、膝裏の筋膜が硬くなっている可能性があります。
こうしたケースでは、筋膜の硬くなっている部分を優しく押して「ズン」と響くような感覚があれば、そこを軽くマッサージするだけでも症状が軽減することがあります。
筋膜のコリのほぐし方についての記事は、こちらからどうぞ
テニスボールを使った筋膜のコリのほぐし方についての記事は、こちらからどうぞ
【膝の痛みを解決するには姿勢の改善が有効】

姿勢の癖にも膝は大きく影響します。
これらはすべて膝に余計なストレスを与える要因です。
膝だけでなく、膝と隣接する股関節や足関節、姿勢の要である体幹を整えることで、根本的な改善につながります。
姿勢について詳しく知りたい方は、こちらからどうぞ
【まとめ】
膝の痛みは、多くの方が一度は経験する身近な不調です。
しかし原因は人それぞれで、膝そのものに問題がある場合もあれば、他の関節や姿勢の問題が影響している場合もあります。
「しばらくしたら治ったから大丈夫」と思っても、実は膝以外に負担をかけ続け、後から別のトラブルに発展することも珍しくありません。
体は頭のてっぺんからつま先までつながっています。
膝の痛みが長引くということは、体があちこちサビていて、膝の問題を補いきれなくなっているサインかもしれません。
壊れてしまう前に、膝だけでなく全身をチェックし、必要なケアを受けましょう。
セルフケアで改善しない場合は、ぜひ専門家に相談してみてください。